第2章 逢瀬
名前が目を開けると、真っ白な天井が目に飛び込んだ。
暫くぼうっと考えて、やってしまったことを思い出し、自責の念に駆られながらお腹を撫でた。
「…走ることすら、ままならないのか…」
調査兵団を辞めた日から、情緒不安定になってしまうことが増えた。
思い通りにならない体と、リヴァイのお陰で生き永らえた命。
昔から良いことなんてなかった名前にとって、リヴァイの存在は大きすぎて怖かった。
いつか失うのではないかと、リヴァイを求めることを拒否している。
それでも、自分の気持ちには気づいていた。
そんな気持ちに嘘をつく度、リヴァイに冷たく当たってしまう。心が不安定になってしまう。
悔しくて、涙が出る。
「…名前…?!」
ふと聞こえた驚くような声に、反応はしたが振り向こうとはしなかった。
駆け寄る音が聞こえる。
「名前?!…目を………心配、かけんな」
心底ホッとしたような声に、名前は「ごめん」と呟いた
「…名前、お前が俺をどう思ってるかは知らねぇし、興味もねぇが…俺は、お前を諦めるつもりはねぇ」
ちらりとリヴァイを見れば、辛そうな顔で自分を見下ろしていた。
「だから、お前が振り向いてくれるまで死ぬつもりもねぇし…お前から継いだ兵士長も、やり遂げてみせる。だから…頼む、もう、危険なことはしないでくれ…」
…大切だからだ。
そう、リヴァイは呟いた。