第15章 「まものと王子様」
「CODE016はどうします?」
「CODE002が優先だ、逆らったら殺しても構わん。」
「!!…大丈夫、僕が君を守るから。」
僕は彼女を離すまいと強く抱き締めそう言った。
真っ暗闇のその奥に、強く美しいまものの姫
月の光に誘われて人間の国に迷い込み、
小さな城の夜の庭で1人の王子に恋をした____________
しかし姫はまものの子…背には灰色の翼があった。
まものの姫は困り果て、森の外れの魔女に聞く
『人間として生きたいか』と
『あの人と結ばれたいのだ』と
すると魔女はこう言った。
『良いとも、お前の翼と引き換えだ。
しかし覚えておいで…
どんなに姿を偽ってもまもののお前はいずれ王子の命を喰ってしまうだろう。』
彼女に続きを読むと、
彼女は僕の表情が曇ったからか僕の顔を見た。
「ごめん、悲しいお話だなって思って…
同じ人間じゃないから2人は結婚出来ないのかな。」
「えっこん…?」
「うん、大切な人とずっと一緒に居ようって約束するんだって…
もし2人が同じ人間なら…」
僕はゼロツーを見ながらそう言うと、
彼女は嬉しそうにこちらを見て笑った。
「ううん、さぁ…もう少し歩こう!」
ゼロツーも立ち上がろうとすると、
足を痛めたのか立つ事が難しくなっていた。
「見せて!…あ、青い血……
と、とにかく何か!!」
僕はゼロツーの足元から血が出ている所を
自身の舌で必死に舐めた。
「我慢して!!
動物は傷を舐めて治すんだって本に書いてあったんだ!」
「…えおん」
「えっ?」
「えおん、えおん!!」
ゼロツーは絵本の2人を指さしてから、
僕の方に指を指した。
「…うん、ここを出たらね!
僕も君とずっと一緒に居たいもん。
そしたら僕は君の_________だ!!」
「!!…ダー……ぅーぅー」
何故か、涙が出た…
傷の痛みのせいじゃない
そうだ…私は多分嬉しかったのだ
絵本の中の世界みたいな、綺麗な物に_________________