第15章 「まものと王子様」
小さい頃ガーデンで流行っていた、
ヒロの名前を付ける遊びは次第に広がっていった。
「ヒロ、本当に良いの?…またオトナ達が怒っちゃうよ?」
「別に名前を付けるだけだし、大丈夫だよ。」
「……私の名前、CODEが00だから《ゼロ》しかないよね」
「ごめん、ちゃんとした名前付けてあげられなくて…」
「いいよ、ヒロは私の名前を考えてくれたんだもの。
……私は《ゼロ》としてヒロやイチゴ達と一緒に居るよ」
ガーデンではたまに、
コドモが少しずつ居なくなっていた。
彼らが何処に行ったのか、オトナは知らせてくれなかった
その一方で、僕やゼロは特別対象者に選ばれて
2人だけでラボでテストを受けていた。
上手く出来たらご褒美が貰える…
でも、僕の疑問に答えてくれる人は相変わらず誰も居なかった
いつもの様にゼロと一緒にテストが終わり
ガーデンに帰ろうとすると、
紅いツノの生えたコドモを僕達は目のあたりにした。
「あのツノの生えた子って誰なんですか?」
「また質問…部屋に戻りなさい、貴方は知らなくていい事よ」
初めて見た、紅いツノの生えたコドモ…
知りたい事がまた増えた__________________
「そうだ…」
誰に聞いても教えてくれないなら、
自分で確かめに行けばいい。
ヒロは色んな所に足を踏み入れるが、
中々彼女を見つける事はそう簡単では無かった
「自分で何かを探すのって難しいなぁ…」
上の建物を見上げると、
探していた彼女とオトナが何か争っているように見えた。
これを手放せないと、彼女は必死に
オトナに取られそうになった【絵本】を握りしめていた。
「…凄い、凄いやぁ!」
何故だろう、とても…
とても嬉しかった________________