第1章 クリスマス(鰤市)
「はー・・・楽しかったねぇ」
冬は陽が落ちるのが早い。
5時にもなれば周りはすっかり暗くなってしまった。
二人がのんびり歩く道沿いの家には、色とりどりのイルミネーションが輝いている。
「雪でも降ってくれればそれなりに雰囲気あるのになぁ~・・・」
「ま、今年はまだムリそうだな。正月ぐらいには降るんじゃねぇか?」
白い息を吐きながら取り留めの無い話が続く。
「あ!そうそう・・・・はい、一護!メリクリ!」
琢磨が長細いケースを手渡してきた。
「おお?」
「クリスマスプレゼント!・・・・何にしようか迷ったんだけどさ」
箱から出てきたのはクリスタルで造られたクロス型のトップを持つネックレスだった。
「クリスタルって邪気を祓ったりしてくれるんだってさ!・・・琢磨が少しでも傷つかないように・・・お守り!」
照れくさそうにそう言って笑った琢磨に、一護は「さんきゅ・・」と呟いた。
「えへへ・・・」
次は俺だ・・というように、今度は一護がゴソリと何かを差し出してきた。
「ほれ」
「ん?」
「いいからっ・・・いらねぇのかよっ!!!」
いつの間にそんなものを準備していたのか・・・一護の手にはクリスマスのラッピングがされた小さな箱があった。
呆然としたままそれを受け取った琢磨は、ゆっくりとその箱を開けて・・・
「これ・・・」
真っ赤な顔をした一護を見上げた。
琢磨の手には、小さな星がいっぱいついたストラップがあった。
そういえば・・・幼い頃、一護に言ったことがある。
『僕はお星様になりたい。キラキラ光って夜空を光でいっぱいにしたいんだ。』