第10章 真選組女中生活 X日目 志村新八
「あらちゃんじゃない。いらっしゃい。どうしたの?」
「あの、先日のお礼に来ました。これつまらないものですが、よければ新八さんとどうぞ。」
「まあ、そんな気を使わなくても良かったのに〜。ありがとう。よければ上がっていかない?新ちゃんはいないけど。」
「えっ、えーとー、」
「嫌なら無理にとは言わないけど。」
「嫌じゃ無いです。あの、その、えーっと、迷惑ではありませんか?」
「迷惑だったら誘わないわ。さあ、上がって上がって。」
少女にとっては少し有難い話であった。なぜならこの後の予定は全く決まっておらず、どうしようかと決めあぐねていたのである。
一方お妙の方は
フフッ、面白いことになりそうね。
先日、新八が少女を抱えて連れてきた日からどうも様子がおかしいのである。本人に自覚があるかは定かでは無いのだが、時折、ちゃん大丈夫かな…、等の少女に関連することばかり口にするのである。その表情は悲壮的でどこか焦がれているようで。姉としては、新八が少女に惹かれて始めているのではないかと考えているのである。
「この前家に来た時も思ったけど、ちゃん可愛らしいのよね。ほんと妹に欲しいくらい。」
「え、えーっと、そのありがとうござます。私もお妙さんみたいな美人で強いお姉さんがいたらいいなって思います。」
その言葉を述べながら表情はあまり変化が見えなかったあのだが耳が紅く染まっている。どうやら本心からの言葉であるようでお妙は気を良くした。
ちなみにお妙は新八から少女の話を全て聞いているので、少女がなかなか人を頼ろうとせず、表情が乏しくなってしまった事も知っているので、少女が無愛想だとは思っていない。