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扉の向こう

第1章 迷子。


【桜凪side】


刑事さんとの話も終えて、外に出た。

施設に行くコトになった時、1人にされるような気がして、急に不安になったけど、メガネ男子が引き取り先として名乗り出てくれた。

正直...、ホッとした。


あ、お礼を言わなきゃ。
そう思って、とっさにメガネ男子の服の袖をつかむと、こちらを向いてくれた。


『あの...、ありがとうございます。今、1人にされるの、ちょっと不安だったから、...助かりました。』

「ん...?あぁ、気にするな。...まぁ、大所帯だから騒がしいかもしれないけど。あと、かしこまるのも疲れるだろ?普通にしてて良いからな。」

『...ありがとうございます。...えっと。』


...名前がわからない。そういえば、出会ってから名前を聞いていなかった。でも、すぐに伝わったみたいだった。


「大和。二階堂 大和だ。」

『ありがとうございます。大和さん。』


フワッと笑って見せると、「家に連絡を入れておく」と持っていた板のような物をいじりながらプイッと前を向いた。
一瞬、大和さんの顔が赤かった気がしたけど...気のせいかな?








少し待っていると、連絡が終わったみたいで、板のような物をポケットに入れ、こちらに振り向いた。


そして、その大きな手が私に差し出された。















「...ほら、帰るぞ。」














今、頼れる人は、この人だけ。

その大きな手が、

私には、

暖かい存在になった。


 
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