第2章 お家。
大和さん、何か感じ取ってくれたんだ。でも、話すのが嫌な訳じゃない。それに、大和さんに話せば、記憶のコトで私が気づかないコトに気づいてくれるかもしれない。
『ごめんなさい。そうじゃないの、大丈夫。』
大和さんは「そっか」と言って、静かに私の言葉を待っていてくれた。一呼吸して、ちょっとだけ覚悟を決めた。
『気絶した時じゃなくて、たぶん、夢...見てたんだと思うんだけど、もう一度、同じ人が見えたの。...やっぱり、私の頭を大きな手でなでていて、でも...。』
...あの表情は、今思い返しても、締め付けられるみたいに胸が苦しくなる。
『すごく...、辛そうな顔...してて...。無理矢理笑ってる感じがして...。それで私まで...辛くなっちゃっただけ。』
そう言いながら、あまり心配をかけないように、笑ってみせた。
「...辛いなら、お前さんまで無理矢理笑うコトはないだろ。」
あれ?バレちゃったか...。
『んー、でも...、誰かわかんないし、なんでそう思うのかもわかんないし...。』
「わからなくてもそうやって思い出すってコトは、きっと零の大事な人なんだろ。...だから、つられて辛くなったんじゃないか?」
『大事な人...かぁ。』
会話が止まってしまい、少しの間、静かな時間が進んだ。でも、不思議と気まずさはなかった。なんだかこの静けさが、ゆっくりと胸の苦しさを消していってくれた。
先に動いたのは、大和さんだった。
ゆっくりとベッドから立ち上がると、私の前に立ちポンポンっと私の頭を軽く叩いた。
「ま、焦るコトはないさ。1つ思い出せただけでも十分な前進なんじゃないか?」
『...うん、そだね。』
うつむいたまま返事をした。
いや、だってね、頭ポンポンって...////。まだ今日知り合ったばっかりだよ?それにしては、もうめちゃくちゃお世話になりっぱなしなんだけど...。でも、頭ポンポンって...。
...恥ずかしい////。
「...さて、少しは不安解消されたかな?本当にそろそろ寝た方がいい。」
そう言いながら、私をベッドの方へ促そうとする。