今日は何処で、どんな風に…【文豪ストレイドッグス】【R18】
第4章 ホテルで、嫉妬深く…
「それじゃ、また明日ねー!」
仕事場の同僚に別れを告げて、駅に向かう途中。
私は後ろにまとめた髪をぐいっとひっぱられた。
「ん、え、中也!?」
「遅いから迎えに来た。」
驚いて振り向くと、そこに居たのはいつも駅で待ってくれている、愛しい大事な彼氏、中原中也。
身長は私とほぼ同じくらいだけど、男らしくて頼りになる。
付き合ってまだ数ヶ月だけれど、ほんとに良くしてくれる。
「駅すぐそこじゃん…」
「いつももっと早く駅着くじゃねぇか」
中也は颯爽と歩き出すと私の腕をパシッと掴んだ。
私は素直に中也の後についていく。
彼は私より少し歩幅が広いからついていくのがちょっとしんどい。しかも今日は一段と歩くのが早い。
「心配性すぎ…」
そう呟くと、彼は突然立ち止まってこちらを向いた。
「手前がホイホイ男についてくからだろ」
「はぁ…!?え、えっ…!?」
男にホイホイ…!?
私がいつそんなことをしたというのか。
私は中也一筋だし、大好きだし、正直こんなハイスペックな彼氏もう二度と出来ないから絶対に離したくない。
ほかの男の人なんて正直興味無い。←
「じゃあさっきのヤツなんだよ」
心なしか目に光がない。掴まれた腕に強い力が入り出す。
「さっきって…会社の、同期の人だよ」
「あんなベタベタするか?普通」
「ベタベタって…!ちょっと冗談で肩叩いただけだよ?」
あの人は冗談が上手いから私もついつい乗せられてよく肩をしばいてツッコミを入れる。それをたまたま中也が見てたらしい…けど、これってベタベタのうちに入るのか。
よく分からないうちにまた中也が歩き出す。
無言で、でも掴まれた腕は次第に痛んで。
周りの人の話し声や車や電車の音、ビルのモニターのCM音。
全部が少しいつもより大きく聞こえる。