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*パンダの調教*【R18】

第2章 秘密





「ぁっ…、」

スマホを取り出した拍子に、バッグから飛び出た化粧ポーチ。
地面に落ちたそれは当然地味な音を立てて…


「…!」

けれどその音はしっかりパンダにも聞こえたらしく、彼(?)はぐるんと勢い良くこちらを振り返った。

(わっ…目が合った…!)

襲われでもしたらどうしよう…!
ひと先ず一旦ここを離れて、それからゆっくり落ち着いてから連絡しよう。

頭の中でそう整理をして後退りする。
するとパンダは、器用に持っていたペットボトルの中身を飲み干し、足早にこちらへ近付いてきた。


「ちょっ…」

や、やばい襲われる…!
パンダって熊の仲間だっけ!?
だったら死んだフリした方がいいのかな!?
いやでも、熊に死んだフリは効かないってテレビで言ってたような…

再度パニックに陥る私。
くるりとパンダに背を向け、縺れそうになる足で何とか走る。
その瞬間…


「ま、待って下さい…!」

「……、え?」

聞き覚えのある声に呼び止められた。
恐る恐る振り返れば、そこにパンダの姿は無くて…


「…は……半田くん…?」

さっき見失ったはずの半田くんがいた。

(え……一体どういう事…?)

私は仕事のストレスと疲れで目(頭?)がおかしくなってしまったのだろうか…?
さっきのパンダは幻覚…?
でもどうやったら半田くんとパンダを見間違える事なんて出来るだろう。

少し呼吸の荒い半田くんの手には、さっきパンダが握っていたペットボトルがあって…


「織田先輩……見ましたよね?」

「…え……?」

「正直に答えて下さい」

「っ…」

手にしていたペットボトルを地面に落とした彼は、ぎゅっと私の両肩を掴んできた。
初めて見る彼の必死な形相に少し恐怖を覚える。


「み、見たって……何を?」

「とぼけないで下さい!お、俺が……その…、パンダになったところです」

「………」

彼は一体何を言っているの…?
確かに私はパンダを見た(幻覚じゃなければ)。
そして今私の目の前にいるのは、パンダではなく半田くん。
だからって、半田くん=パンダなんて誰が思い付くだろう。


「あはは…、私も半田くんもきっと疲れてるんだね。ほら、さっさと家に帰って…」

「違うんです!」

「…え…?」

「さっき先輩が見たパンダは……俺なんです」



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