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鳥籠【R18】

第14章 #14


 ここは八神の夢の中。八神はいつも通り帰ってくる。
扉を開けて少し歩くとリビングルームに出る。
赤髪ロングウェーブの派手な母親が、テーブルの側にある座布団に座っている。母親は煙草を吸っている。黒髪オールバックでスーツを着ている五十代後半くらいの長身の男性、哲也が立っていた。八神の父親である。
何やら話し込んでいたようで哲也は振り返る。
口数の少ない母親が八神に挨拶をした。
「おかえり智久。」
「ただいま…ってなんで親父がいるんだ。」
 八神は哲也がいる事に驚きを隠せない。
「よぉおかえり智久!大きくなったな!」
 心配させたことも忘れているのか笑う。
哲也は笑いながら八神の頭を撫でた。八神に似てよく笑う。
これまで溜め込んでいた怒りをぶつける。
「何がおかえりだ…親父!どこ行ってたんだよ!
おふくろと俺を寂しくさせやがって。」
 八神は怒鳴り哲也の胸ぐらを掴んだ。
哲也は悲しそうな顔をした。物凄く反省しているようだ。
「勿論。悪かったでは済まされないと思っている。
土下座しても足りない。これも恵子と智久の為なんだ。世間体もある。組同士の抗争に、恵子と智久を巻き込む分けにはいかなかったんでな。」
 八神は胸ぐらを離す。八神の母親の名前は恵子である。
哲也はヤクザだ。自分達の為に行方不明になっていた。
哲也を誤解していた。捨てたんじゃなく守っていたんだと。
哲也は笑みを浮かべる。
「お前に伝えておきたいことがあって来た。
俺のようにはなるな。好きな女が出来たら大事にするんだぞ。じゃあまたな。」
「智久には普通の生活してほしいな。
ホストとヤクザなんかになったら許さないからね。」
 恵子が言うと哲也は去ろうとする。
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