第5章 #05
派手なだけの不良の影が小さくなるまで見送った、名前は八神に駆け寄る。
「八神さん…。ごめんなさい…。」
「名前が謝ることない。俺が好きで守っただけだ。」
名前は八神に頭を下げて謝る。
「ダメですよね私…。やっぱり八神さんと釣り合わない…。」
「…。」
八神は、しょんぼりして泣き出す名前を見てしゃがみ込み微笑んで頭を撫でる。
「よし。今から気分転換しにカラオケ行くか。
俺はストレス溜まっちゃったから大声が出したいな。」
「カラオケですか…。」
「嫌か?」
八神に聞かれ名前は微笑んで頷く。
「いえ…。八神さんとならどこへでも行きます!」
八神はニィッと笑う。
「そうこなくっちゃな!」
「わわ…!?」
強引に繋がれる手。少し痛いけど八神の手がとても温かい。
名前は八神の手を指で握ったり撫でたりする。
八神の手を握っていると心まで温まって。繋がる手を離したくないと思うようになる。
名前は頬を赤く染めて八神を見る。
「俺の手が大きいの気になるの。」
「はい。八神さんの手って、私より大きいなって…。それに温かいです。」
「そりゃあ男と女だもんな。」
名前はこくんと頷く。手を固く繋ぎ握り、八神と二人並んで街中を歩き始める。
八神と付き合い始めてからは名前の心身ともに落ち着いて来た。八神と名前は二人揃って無言で歩く。
目指すは駅前のカラオケ店。