第5章 #05
時間は午後。名前は八神の影に隠れて怯えていた。
八神とお付き合いさせてもらっている。
それ故に凶暴性の薄い名前を狙い、暴言を放った不良がいた。八神は口と拳で反撃してくる。
反撃してくる八神ではなく、自分よりも弱い立場の人間である名前に狙いを定めたのだ。
攻撃の標的に名前を選択したのは名前であれば反撃して来ないからだ。八神が隣にいるから怖くて手を出せない。
怖くて手を出せないから派手なだけの不良にお願いしたわけだ。
口で言って聞く相手ではないし、同級生と繋がっているのも知っている。
八神は顔の良さと母子家庭である事から不良に絡まれやすい。反撃してる内に不良になったと言う。
「へぇ。それで俺ではなく名前を狙う事にしたと…。
悪いが名前は、クラスの連中の相手で手いっぱいなんだ。ソッとしてくれないか。」
派手なだけの不良である。口だけは達者だ。
「お前が名前にくっついているせいで、○○達が名前に手を出せないんだって。邪魔なんだよな。」
「意味わかんねぇ。俺は名前から離れるつもりもないぞ。
お前、さっき名前の見た目の悪口言ったよな。」
「だからなんだよ。本当の事言っただけだろ。」
八神は微笑み派手なだけの不良に近付く。
派手なだけの不良の胸ぐらをつかむ。
「そうかい。今度俺がいない時に、名前に手を出してみたり悪口言ってみたりしろ。」
「ひぃっ!?」
八神を見て取り巻きは逃げ出す。
「俺、名前に手を出されたら何するかわからないから。」
不良と言うのは派手なだけの奴と喧嘩する奴二つのタイプに分かれてる。
喧嘩する奴は名前に手を出さない。
名前が自分よりか弱いのを知っている。むしろ八神のほうに喰ってかかってくる。
今は八神の天下になっているから、喧嘩っ早い不良達は喰ってかかって来ない。
八神は派手なだけの不良を睨む。
「お前の親玉が誰かわかっている。親玉にでも伝えておけ。わかったか。」
「くそっ…覚えてろよ八神!」
八神は派手なだけの不良の胸ぐらを外して突き飛ばす。