第1章 招かれざる客
『………と云う訳。』
全ての経緯を話し終えると中也はワナワナと震え上がっていた。
「手前ェ等……。死なす!絶対に死なす!!」
「えぇっ!?僕もですか!?」
「此奴を引き止めなかった時点で同罪だ!」
「まぁ落ち着きなよ。これ以上怒るともっと身長が縮むよ?それよりお腹空いたなー。疾くロールキャベツが食べたいなー。」
『……先刻の話聞いてたんですね。とりあえず朝仕込み終わって温めるだけなんで、すぐ出来ますから三人共大人しく待っていて下さい。』
云うなりパタパタとキッチンへ向かう愛理を見送ると三人はソファーに掛けた。
無論、太宰と敦が隣に座り中也は向かいに座る。
「……ところで何で二人が付き合ってるの?凄く釣り合わないと思うんだけど。」
「あァ!?ンなの如何だって良いだろ。」
「でも僕も気になります。」
敦がおずおずと尋ねれば人の良い中也は律儀に応えてくれた。
「チッ。手前もかよ。偶然任務場所で会ったンだよ。」
「ねぇ、中也?それじゃあ答えになって無いよ。」
「いちいち煩ェんだよ!手前ェはよ!!」
『中也煩いよ!』
大人しく待っている様に云われたことをすっかり忘れてまんまと太宰の挑発に乗り大声を出す。
太宰を睨みつけた後ご丁寧に愛理に「すまねェ。」と返すと敦が話を続ける。
「ポートマフィアと武装探偵社の任務場所が同じなんてあるんですか?」
「それが銃の密輸の取引で単独任務だったんだけどよォ、其処の頭と話してたら其奴がいきなり倒れたンだ。間もなく其奴の部下が俺に襲いかかって来やがって応戦してるうちにまた頭と同じように急に倒れていく奴がかなり居てな。」
「成る程。愛理ちゃんの異能力だね。彼女は普段持ち歩いている暗器も透明化出来るから。」
「あぁ、そういうこった。そンで誰も居なくなったと思ったら愛理が突然現れて『驚かしてしまってすみません。』って云った後に、彼処の組は取引相手を次々に殺していく。父親を殺された息子が突き止めた。って事を聞いた。序でに武装探偵社だって事も異能力者だって事も。」
「そんな事件があったんですね…。それで如何して敵対する組織の人と仲良くなろうと?」
「手前ェ、結構ガツガツ聞いてくンじゃねェか。」