第5章 睡蓮
車での移動中に話した、太宰さんの気になる事とは○△□組織の動向がやけに探りやすいと云う事であった。
まるで此方にわざと情報を与えているみたいに。
『動きが活発になったのって去年の夏頃でしたよね。同時期に何か或った事と言えば……。真逆!?』
「そう。全く困ったものだよ。」
『榛名直人の失踪ですね。となれば作戦は変更しましょうか。彼はとても優秀な作戦参謀ですから此方の手は全て読まれているでしょう。』
「いや、其の必要は無いよ。」
「敢えて彼奴の思惑通りにさせるって事かよ。」
「頭の悪い中也でも分かってくれたようで嬉しいよ。」
「自殺しか考えてねェ頭よりマシだろ!決まったなら行ってとっとと帰んぞ!」
中也さんの発破を合図に作戦はそのまま決行された。
最悪なことに榛名直人が指揮を執っていたが、太宰さんの脳に敵うはずもなく組織は壊滅。
任務は無事に完了し、私は今マフィアのシャワー室でシャワーを浴び終え身体を拭いているところだ。
別に汗をかいたからと云う理由では無い。
先の戦闘の際での汚れを落とす為でも無い。
此処に帰って来る途中の車中で太宰さんが飲んでいた飲み物を溢したのだ。
其れは隣に座っていた私に見事な迄にかかり拠点に着くなり即刻シャワー室へと向かわざるを得なかった。
勿論首領への報告は太宰さんと中也さんに任せてある。
身体を拭き終えたところでドアが叩敲(ノック)される。
「愛理居るかい?」
『今着替え中ですので少し待って下さい。』
「だとよ。仕方ねェ、出直して来よ「じゃあ失礼するよ。」ってオイッ!人の話聞けよ!」
ガチャ
『矢張り入ってくるんですね。』
「君の其の下着姿を見ない方が罪だよ。」
『何度も見てるじゃないですか。』
「何度見ても見足りないよ。」
幸い上下共に下着は身につけており裸を見られる事は間逃れた。
今はシャツを着ている最中なのだが太宰の背後に中也が居たことに気付く。
『へっ!?何で中也さんも此処に!?……と云うか見られて!?』
動揺する彼女が珍しいのが太宰さんは声を上げて笑った。