第24章 不安定要素
太「で、如何して蛞蝓がいる訳?」
中「手前が後から割り込ンで来たンだろうが。」
太「終わる時間が同じ時は私と二人で帰ると約束しているのだよ。」
『いや、してない。』
中「俺は同じクラスだからな、毎日一緒に帰ってンだの。」
『いや、帰ってない。』
自身を間に挟んでの云い合い。
それへ突っ込むのにもホトホト疲れる。
『…というか私要らなくない?』
中太「「はぁ?」」
『だってずっと二人で話してるじゃん。』
口を尖らせる彼女を見て太宰はニヤリと笑う。
太「つーまーりー、私と話したいんだね?」
『喋りたいと思ったから一緒に帰ってるんでしょ。』
てっきり否定される事を想定していた太宰の足はピタリと動かなくなる。
矢張り彼女の一挙一動は心臓に悪い。
慌てて何時もの笑みを顔に貼り付けて先行く二人を追いかけた。
———————気付けば約束の日曜日。
電車を乗り継ぎ久方振りに会った紅葉姐さんは何一つ変わっていなかった。
……そう、何一つとして。
紅「愛理や。次はこれを着てみぬか。お主の白い肌に映えると思うのじゃ。」
『え!?えーっと…。』
十八着目の着物を持ち出してきた姐さんに流石にやめてやれ、と中也が助け舟を出してくれた。
『あっ…!でね、その、文化祭の衣装の話なんだけど…。』
紅「嗚呼、その話か。何でも好きな物を持って行くとよい。鷗外にも話を付けておるから洋物はそっちから貰うんじゃな。」
『森さんにも話してくれたの!?姐さん、本当にありがとう!』
正直のところ森さんと連絡を取りたくはないのだ。
其れを察してくれてか行動をとってくれたのは本当にありがたい。