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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第23章 悪戯






太宰は正解の意を込めてニヤリと笑う。



太「愛理なら万が一に備えて捨てずに取っておくと思ってね。」



対して彼女は拗ねたように頬を膨らませる。



『治さんも私を分かっているじゃないですか。……その万が一の為に捨てようかとも思いましたけど。』

太「私に何があろうと君の事は守ってみせるよ。」



隣を歩く彼女の前で跪くとそのまま手を取りキスをする。
周囲の人がざわついたのに気付いた太宰は何事も無かったかのように再び歩き出す。



太「それでも私がわざと置いて行った事に意が或ると思い捨てなかった。そしてメェルを見た後で其れを思い出した。」

『名刺を取り出すと裏面には“一週間の辛抱”とだけ書いてありました。今回は仕方なく我慢しましたけど…。』

太「流石だ。しっかり汲み取ってくれている。」



手を繋ぎ共に寄り添い歩く二人はまるで映画のワンシーン。



男の背中に「この人を見かけたら探偵社まで。」と電話番号まで書かれた貼り紙を貼られていること以外は。






END




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