第22章 痛いほどの愛
太「此方も色々と限界だから。」
何度鍛錬しても使い物にならず、挙げ句の果てに任務の途中で幹部に助けてもらう始末。
これでは何時見放されても可笑しくはない。
『私、異動したくないです。太宰幹部に仕えたいです。』
太「はぁ?」
『出来る事で或れば何でもやりますから、お願いします。』
座ったまま頭を下げる。
どんなに酷くされ冷たくされたとて私は太宰幹部に此処まで依存していたのか。
太「何でも……ね。その言葉に偽りは無いね?」
『はい。』
太「では此の続きをしよう。」
手早く処置を済ませた太宰幹部は私の太腿にゆっくりと手を這わせた。
『手当ての続き、でしょうか?』
太「うん、そう。」
ぶつけない様に頭に手を添え、ゆっくりと寝台に押し倒される。
必然的に太宰幹部は私に覆い被さった。
『……?太宰幹部も一緒にお休みになられるのですか?』
太「“一緒に寝る”けど休めはしないかな。」
今にも唇と唇が触れ合いそうな距離になった時、突然バタンッと扉が開いた。
中「手前ェ……!帰って来ンの遅ェと思ったら何してンだよ!」
太「見ての通りお楽しみ中だよ。分かったならとっとと出て行ってくれる?」
中「出て行くのは手前だ。首領がお呼びだ。」
はぁ、と深い溜息を吐いた太宰幹部は私のブラウスの釦を一つひとつ丁寧に閉めていく。
そして何事も無かったかのように無言で部屋を出て行ってしまった。
其れを見届けた中也さんは寝台の横の椅子へ座ると悩ましげな顔でこう云った。
中「此れで分かっただろ?」
『いえ、さっぱり分からないのですが。』
中「手前は阿保か。とりあえず俺から云えることはだな、今まで手当てして来たのは俺じゃねェ。全部彼奴だ。」
…………は?
脳内の処理が追い付かない。
『ですが、目覚めた時に何時も横に座って下さっていたのは中也さんでは……。』
中「其れも彼奴の魂胆だ。俺が横に居れば俺が手当てしたと必然的に思うだろ?手前が目覚める直前まで何時も太宰が横に居たンだよ。」
『そ、そんな……。』