第22章 痛いほどの愛
あれから受け取った作戦書を暗記出来るほど熟読した私は、定刻通り太宰幹部の執務室の扉を叩いた。
太「入れ。」
『失礼します。定刻です。お迎えに上がりました。』
太「あぁ。」
移動の際には何時も迎えに来るように云いつけられている。
一度、中也さんに呼び止められ五分程遅刻したことが或るのだがその時は遅刻の原因を問い詰められ、更には嫌な匂いを纏わりつけて来るな、と激怒された。
下の駐車場へ回した車へ案内をすると太宰幹部は後部座席にゆったり座る。
無論私は運転席へ。
残りの構成員はみな別車両へ乗っている。
目的地まで一言も発さずただただ沈黙だった。
が、時折ルームミラーを覗けば必ず太宰幹部と目が合う。
何なのだろう。
運転技術を確かめていたのだろうか。
とても気が気では無い時間であった。
『———————私が囮となり中央突破、後にA班B班共に援護。作戦に変更無し。以上!……では十秒後、行きます。』
太「あぁ。」
隣でピコピコと携帯遊戯機にすっかり夢中な太宰幹部へ同意を得ること十秒後。
瞬時に腕の立ちそうな相手を見極め、それから順に始末していった。
雑魚は構成員に任せどんどん奥に進んで行くと急にお腹に鋭い痛みが走る。
『ッ!!?————はぁ……はぁ…。昨日のがぶり返したのか…。』
とは云え途中で戻る訳にも行かず苦悶の表情を浮かべつつも足は止めない。
————————心算だったが、予想外の人物の登場にはたと立ち止まる。
?「お姉さんが相手?やだなぁ、僕。こんな綺麗な人を傷付けるなんて。」
『随分舐めた口調ね、子供のくせに。』
少年「え?だって僕お姉さんより強いもん。」
巫山戯るな。こんな小学生相手に負ける訳がない。
手始めにその可愛らしい顔に痛手を負わせてあげよう、と拳を振り上げ飛びかかった。