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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第21章 侵食(彼目線)




「本っ当に気持ち悪いんだけど。」


何時もと同じく会議室で作戦会議に伴う書類作成をしていた太宰の野郎は、何の脈絡もなく云い放つと万年筆を捨てる様に置いた。



「だからいきなり何なンだよ!」



怒りを露わにし此処で缶詰め状態になっている鬱憤の矛先を彼奴に向ける。



太「前より更に機嫌佳いじゃない。」

中「あァ?欲しかったモンが手に入ったンだよ。」


太宰はへぇ………。と呟き顎の下で手を組むと意味深な笑みを浮かべた。



太「壊さなきゃ佳いけれど。」

中「壊す訳ねェだろ。大事にするって決めたンだよ。」

太「大事にし過ぎるのも如何かと思うよ。」

中「ンッとに手前ェは口の減らねェ野郎だな。」

太「見てよ、此れ。」

中「あァ?」

太「書類も減らない。」



がっくしと拍子抜けをした俺が怒鳴ったのは云うまでも無い。



「あ、あのぅ……。」


突然聴こえてきた声の方へ目をやれば黒服の構成員であった。



中「手前ェ叩敲ぐらいしろ!」

「すっ、すみません!!」

太「凡そ中也の騒音とも云える声の所為で掻き消されてしまったのだろう?」

「はい……。」



優しい声色の最年少幹部に胸を撫で下ろした俺の部下は正直に答えた。



中「そりゃアすまねェ。」

「いえ!とんでもないです!私のタイミングが悪かっただけです!」

太「うん、そうだ。急ぎの用でない限り取り込み中と分かればまた改めて来るべきだ。」

「…………。」



先程とは打って変わって淡々と話す太宰に圧倒され何も言葉が出なくなってしまったようだ。



太「何?返事も出来ないの?」

「すみません!!また出直します!!」



逃げるように部屋から飛び出した構成員を気にも止めず太宰は俺へ問い掛けた。



太「君への報告でしょ、あれ。」

中「嗚呼。最近忙しいからな。」

太「其れももう終わりだろう。」

中「チッ。なンだよ、全てお見通しって訳か。」

太「私を誰だと思ってるの。」

中「陰湿男。」

太「君だけには云われたくないね。」

中「何とでも云え。」



愛理の為なら何だってしてやるって云ったろ?








END






〈作者から〉
本当もう解説してもらっただけになってますが、ヤンデレを書きたかったんです!
ヤンデレハマりそう…。



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