第2章 意地悪なバレンタイン
大倉side
仕事終わって家に帰り
改めて
今日あかねちゃんからもらったチョコと
真っ正面から向き合う…
きれいな箱から
飛び出してきたチョコは
手作りらしく少しいびつで
一つ摘まんで口に放り込むと
甘くて
少しほろ苦くて
実を言うと
甘いもの自体あまり好きじゃないんやけど
なぜだか
口に広がった
甘さが消えていくのが寂しくて
無くなるとまた一つ
口の中に放り込んでしまう……
好きな人に
自分を好きになってもらうこと……
その難しさと苦しさで
心の中は傷だらけで
ほんとはずっと
誰かに助けてほしかった……
そんな時に
あかねちゃんがくれた
優しさと強さは
ピリピリとした微かな痛みと一緒に
絆創膏のように
傷口を優しく覆ってくれた…
やからなんかな?
チョコを食べながら
あかねちゃんに送った
メールの返事が来るのを
そわそわ
ドキドキしながら待ってる
この感覚が
もどかしいのに
どこか楽しくて仕方ない…
あかねちゃんから
返事が来たのは
結局それから一時間ほど
過ぎてからやったけど…
『デートさせていただきます!』
そんな短い一文に
「やったぁ♪」
なんて…
一人部屋の中で叫んでる自分がおった(笑)