第2章 意地悪なバレンタイン
あかねside
「あれ…
ちょっと飲み過ぎちゃったみたい(笑)」
食事を済ませ店を出たあと
そう言ってふらふらとよろけながら
腕をつかんだはなさんを
大倉さんは
しっかりとその手で支えて
「じゃあ二人とも…今日はありがとね?」
なんて嬉しそうに
はなさんと二人で歩いていく…
亮ちゃんと二人になった
静かすぎる帰り道…
「大倉さんてさ…
女の趣味悪いよね…(笑)?」
そう言ってけらけらと笑うと…
「そうやなぁ…」
なんて亮ちゃんは
適当な返事をしながら
私の手を掴んで
そっと握りしめる…
繋がれた手を見つめながら
「今私に優しくしたら泣くよ…(笑)?」
そうぽつりと呟くと…
「別にええよ泣いても…?
お前の不細工な泣き顔は
見慣れてるからな(笑)?」
なんて笑いながら…
空いているもう片方の手で
私の頭をふわふわと撫でる…
口が悪いくせに…
私に触れる亮ちゃんの手は
いつだって優しくて
私はこの3年何度この手に
救われてきたんだろう…