第19章 佐賀美 陣 / 先生と教え子 ★
夏。
今年もうだるような暑さの夏がやって来た。
クーラーをガンガンにかけたいところであるが、ここは学校。
エコ活動がどうのこうの…って事で、校内のエアコンはどこも28℃に一括管理されていた。
28℃て…。
日差しがガンガン照り付ける校内で28℃設定のエアコンなど、無いよりはマシ程度。
暑いもんは暑いのである。
その辺の下敷きをうちわ替わりにして仰いでいたら。
チャイムが鳴ったと思えば大きな足音がして、勢いよく保健室のドアが開かれた。
「センセー!!! おっはよ~!!!」
「こぉら月尾…、保健室で騒ぐな~」
月尾聖子
今年から出来たプロデュース科の1年の女子だ。
「ねぇねぇ先生、今日ね、めちゃくちゃ可愛い下着なんだ~♪ 見たい??」
そう言って月尾は悪戯っぽく笑いながら、チラリとブラのストラップ部分を見せつけてくる。
「先生は興味ありませーん」
「えっ、こっちの方が良かった!?」
今度はそう言ってスカートをたくし上げてくる。
「あのねぇ。そーゆーのは学校の外で、男の子にやってあげなさい。その辺にカッコいいやついくらでもいるだろ~」
「えっ?? 私プロデュース科ですよ?? アイドルに手を出しちゃマズいじゃないですか??」
「先生に手を出す方がダメだわ。俺のクビ飛ぶわ一瞬で」
「えぇ~。先生となら同意の上で何とかなりますって~♡」
「なるか」
はぁ~…と深いため息をつくが、そんな事はお構いなしに奴は俺の近くにニコニコと笑いながら座って来る。
そしてじーっと見られる。
「何してんの」
「大好きな先生を見てる♡」
「こんなオッサンなんか見て何が楽しいんだか…」
「オッサンじゃないよ~。先生はカッコいいんだもん!! だからずっと見てたい♡」
「俺じゃなくアイドルを見なさいっての…。プロデュース科だろ…?」
「まぁそうなんですけど~…。ちゃんとそっちのお仕事はやってますよ!! 私仕事とプライベートは分けるタイプなので!!」
「子供がそんなセリフ10年早いっての~」