第18章 乙狩 アドニス / 七夕
- 7月7日 PM 14:30 -
今日は18時から、紅月が七夕イベントを行うので
私はプロデューサーとして、お手伝いに来ています。
午前中にステージの設営を終え、今は紅月がステージ上でリハーサルを行っているところ。
相変わらず、完成度が高くて。
みんなカッコいいなぁ。
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「みんなお疲れ様でした!! とってもカッコ良かったです!!」
「おう。ありがとな、嬢ちゃん」
「そう言って貰えて感激である」
タオルを渡すと、鬼龍先輩はそう言って頭を撫でてくれて。
神崎くんは嬉しそうに微笑んでくれた。
蓮巳先輩はと言うと…。
「全く。働き過ぎだろう。ちゃんと休憩を取って水分補給をしているのか? 大体お前は……」
はぁぁぁぁ、と深い溜息を付きながら、眉間にシワを寄せていた。
「旦那も素直じゃねぇなぁ。心配だって言えばいいのによ」
「…うるさいぞ鬼龍」
そんな様子を、微笑ましく眺めていた。
蓮巳先輩のお小言も、いつもの事なのでもう慣れてしまっていた。
本当は優しさ故のお小言だって、もう知っているから。
そんな時、控えめな声が聞こえてきた。
「…すまない、神崎はいるだろうか」
入って来たのは、UNDEAD の乙狩アドニスだった。
「アドニス殿!! 来てくれたであるか!!」
ぱぁっと嬉しそうな顔をして、神崎くんはアドニスくんの所へ駆け寄って行く。
今日はUNDEADはオフだったので、親友の神崎くんの応援に来たようだった。
楽しそうな二人の姿。
去年のクラスでの、よく見た光景に、ついつい顔が綻んでしまう。
今は科が違うので、あまり見る事の出来ない光景だから。
それに…。
「……。なぁ旦那」
「あぁ。」
二人の先輩は目を合わせて。
「…嬢ちゃん、ちょっといいか?」
私は鬼龍先輩に呼ばれて、この場を後にした。