第17章 三毛縞 斑 / 逃走中 ★
みんな~、ママだよぉぉぉぉぉぉ☆
実は今、ちょーっとマズい感じになってるんだよなぁ…。
Double Face関連の仕事なので詳細は言えないが、俺は今、追手に追われている。
追手は男二人、まぁ何とかならないこともないが。
ここはESストリート。
こんな所で騒ぎを起こしたくもないし。
…と、いう事で。
「おばちゃぁぁぁん、ちょっと裏口借りるぞぉぉぉ☆」
「何だい、また鬼ごっこかい?」
馴染みの定食屋に入り、その裏口へ走る。
この裏口を抜ければ、あとは…
「…え?」
「しまっ…っ!!?」
裏口の扉を開けた瞬間
目の前に聖子さんがいて。
危うくぶつかるところだったが、咄嗟に避ける事が出来て本当に良かった。
「みっ、三毛縞さん!? ご、ごめんなさい大丈夫ですか!?」
「あっはは、すまんすまん☆ ちょっと急いでてな、怪我は無いか聖子さん?」
「は、はい、私は、三毛縞さんが避けてくれたから…」
「聖子さんに怪我が無くて本当に良かったぞぉ☆」
心配そうな顔をしている聖子さんの頭を撫でていると、あの追手の声が聞こえてきた。
「おい、こっちにも裏路地があるぞ!!」
「…っ!!」
しまった。
聖子さんを巻き込む訳にはいかない…、早くここを離れて…
「三毛縞さん、こっちです!!!」
「聖子さん??」
聖子さんは俺の手を握って、走り出す。
どうやら、俺が追われていることを察してくれたらしい。
聖子さんを巻き込みたくはないが、
何故だか俺は、この小さくて可愛らしい手を離せなかった。
「ちょっと狭いけど我慢してくださいね」
聖子さんが連れて来てくれたのは、真新しい電話ボックスだった。
最近作られた物らしい。
プライバシーを守る為にマジックミラーとなっていて、こちらの中側からは全面外が見えるが、外からはシンプルな物置にしか見えない。
「あ、でも、声は聞こえちゃうんで、極力静かにしていてくださいね!!」
まるで刑事ドラマの張り込みのように、キョロキョロと外を見ながら小声で聖子さんはそう話す。
何だか、楽しそうにも見える。