第14章 天城 燐音 / 天城 燐音はキスをしない
燐音さんとお付き合いを始めて1年が経ちました。
手を繋いだり、ギュッと抱き締めてくれたり…
とっても…とっても嬉しいんですけど…
(あ…、顔が近い…/// こ、今度こそ…///)
ギュっと目を瞑って待つのですが…
「…っと、そろそろ家まで送って行くかねェ」
「…え…?」
「最近でっかい仕事続きで疲れてるっしょ? 休める時に休んどかねェとな」
そう言って、頭を撫でてくれて。
燐音さんの大きい手で撫でて貰えるのは大好きだし、優しいなって、嬉しくなるのですが…
でも…
「あ、あの、燐音さん…」
「ん?」
きょ、今日こそは勇気を振り絞るのです!!!
「燐音さん!あの!!その…き…キス、しても良いで…」
「お、悪ぃ聖子、ちょっと電話しねェといけねェんだったわ、少し待っててくンね?」
「…あ……」
スッと離れて、部屋を出て行く燐音さん。
付き合って1年…でも…
未だにキスが出来ません…
「なんで…」
「…おや、聖子さん、こちらにいらっしゃったんですね」
「HiMERUさん…。…あ……」
「…!!」
不意に、HiMERUさんが入って来たもので
涙が溢れるのが我慢出来なかった。
「あ…ごめんなさ…」
「…天城、ですか?」
「え…」
「先程、部屋を出て行く天城とすれ違いましたので」
「あ…えっと…」
何て言えばいいのか迷っていたら
HiMERUさんがギュっと抱き締めてくれた。
「良いのですよ我慢しなくて。HiMERUは、聖子さんの力になりたいのです」
「HiMERU…さん…」
そんな時にガチャっと扉が開いて。
「待たせたなァ聖子、さて帰るか………」
重たい沈黙。
「…おいおいおい、なァ~にしてンだよメルメル…」
「煩いですよ天城。女性を泣かすような男に聖子さんは任せられません。さ、行きますよ聖子さん」
「あ…」
「…っ!!」
HiMERUは聖子の手を力強く引いて
部屋を出て行った