第2章 瀬名 泉 / 自慢の息子
-セナハウス-
「はぁ…はぁ…ここまで来れば取り敢えず大丈夫でしょ…。れおくん、大丈夫…??」
「あぁ!とちゅうなんかいかふりおとされそうになったけどな☆ おもしろかった!!」
「あっそ…」
駄々をこねるれおくんを無理やり下ろし、これからどうしようかなと考えてたら、急に声を掛けられた。
「あの…瀬名先輩…と、月永先輩…?」
そこにいたのは転校生の月尾聖子だった。
「おお!!聖子だ!!聖子~☆」
「こら、なに抱き着いてんの」
「こどもだからゆるされるだろ」
「生意気過ぎるんだけどこのマセガキ」
「ええと…私は次の新曲の衣装が出来上がったのでお持ちしたんですけど…これはどういう…?」
「それは俺が聞きたいんだけどねぇ…」
取り敢えず、今分かっていることを話してみた。
「はぁ…それで月永先輩が小さくなってしまったんですね…」
「そ。全く、授業もあるのにこれからどうしろってんだか…」
「あ、私今日は1限目が自習なんです。なので、その間は私が面倒を見てましょうか?」
「やったー☆ 聖子とあそぶ!!」
「…ホントに良い訳??」
「大丈夫ですよ、クラス委員長の北斗くんには話しておきますので」
「聖子はやさしいな~☆ せなとはおおちがいだ」
「煩いよ。全く、ここで大人しくしててよねぇ??」
俺は聖子にれおくんを預けて、教室へ向かった。
何だか託児所に子供預ける親の気分…
はぁ…れおくんがまた奇行に走らなきゃいいけど…
教室の扉の前で一旦立ち止まる。
死ぬ程面倒な事に、今朝出くわした蓮巳とは同じクラスなんだよねぇ…何て説明するか…
はぁ、もうチョーうざぁい…
「お? どうした瀬名!? 入らないのか!? おはよう☆ いい朝だな☆」
「朝っぱらからチョーうざぁい…」
「ははは、相変わらずだな瀬名は☆ よぉし、一緒に入ろう!! みんな!! おはようっ☆」
俺の気も知らないで
バカレッド(守沢千秋)は大声で話しながら俺の手をグイグイ引っ張って教室へ入って行く。
「っ瀬名!! 今朝のアレはどういう事だ!!」
俺は仕方なく事情を話した。
こんな話、誰も信じてくれないと思ったけど。
意外と皆あっさり信じてくれた。