第8章 HiMERU/ 秘め事 ★
ES内、コズプロ事務所のとある一室。
私はそこで事務仕事を行っていた。
そこに、控えめなノックの音。
「はい、どうぞ」
「失礼します」
入って来たのはHiMERUさん。
手にはマグカップが二つ。
コーヒーのとても良い香りが漂ってきた。
「少し休憩致しませんか? ずっと働き詰めでしょう?」
「わぁ、HiMERUさんありがとうございます♪ いい香り…♪」
「ふふ、HiMERUはコーヒーを淹れるのが得意ですから…、どうぞ」
デスクを離れ、部屋にある大きなソファーに移動し、二人で並んでコーヒーを飲む。
「あ…美味しい! お砂糖も丁度良い具合で…」
「そうでしょう。あなたの好みはHiMERUにはお見通しです」
「凄いですね! 推理が得意、とは聞いてましたが」
「ふふ、ありがとうございます」
それから、他愛のない話をして…
コーヒーを飲み干して…
「HiMERUさん、ご馳走さまでした。とても美味しかったです♪」
「はい、喜んで頂けてHiMERUも嬉しいです。…最後に一つ、あなたに聞きたいことがあるのですが…」
「はい、何でしょう?」
「あなたは…天城と付き合っているのですか?」
「えっ…ええええ!?」
まずい。
燐音さんと付き合っている事は皆には内緒にしないと…。
アイドルとプロデューサーが付き合うなんて事、外部に漏れてスキャンダルなったら一大事ですし…。
「や…やだなぁHiMERUさん、燐音さんとは付き合ってなんてないですよ。燐音さんは誰にでも”結婚しよう”とか言う人ですし…」
…ほんと燐音さんときたら。誰にでも”結婚しよう”なんて、よく言えますよね。
私の気も知らないで…!!
「…そうですか。二人は付き合って無かったのですね。HiMERUの勘違いでしたか…」
「そ、そうです! 付き合ってなんかいませんから!!」
「…なるほど。では、あなたは…付き合ってもない男とこんな事をするのですね」
「え…?」
HiMERUさんのケータイには…