第1章 影片みか / 春のその先
返礼祭も無事に終わり
俺は春からの単身者用マンションへの引っ越しの為に
今日は家具を見に来ていた。
「ごめんなぁ聖子ちゃん、家具見るのに付き合ってもろて…」
「ううん、気にしないで♪ 私も楽しんでるし♪」
「ほんま? せやったらええねんけど…」
聖子ちゃん、きょろきょろと周りを見渡してる…
可愛いなぁ、ほんま小動物みたい。
「あ、可愛い…♪」
「ん? 大きいウサギさんのぬいぐるみ?」
「あっ、ごめんね、家具とは関係無かったね…えへへ」
そんな顔されたらめちゃくちゃ買ぅてあげたいんやけど…
うぅぅぅん…お値段が…(´;ω;`)
お師さんやったら
「少し待っていたまえ」なんて言ってすぐにでも買ってしまうんやろなぁ…
格差社会やわ。世の中不公平やで…。
バイト…増やそうかな…
-----------------------------
「これで一通り見て回ったかな?…大丈夫?影片くん…」
「あ、あぁ…ごめんなぁ。一度にこんな金額支払うなんて初めてやし…目が回りそうやわ…」
「そうだよね…。何処かで休憩しようか?」
「ありがとう♪ あ、最後にもう一つだけ見たいもんがあるんやけど…」
本当は、これが一番見たかってん。
俺は聖子ちゃんを連れてソファー売り場へとやって来た。
「二人掛けのやつがええねんけど…。聖子ちゃんやったらどれを選ぶ?」
「二人掛けにするの?」
「あっ、ほら…ナルちゃんとか急に泊まってく…とかになったら、二人掛けやと簡易のベッドにもなるやん!??」
「あ、そっか~! 影片くんは優しいね」
「そ…そんなことあらへんよ…あはは…」
ホンマは、聖子ちゃんが遊びに来たら…
二人で並んで座りたいから、が理由やねんけど…
あ、アカン…妄想のし過ぎやろか///
まだ付き合ってすらないんやし///
「ねぇ影片くん」
「な…何??」
「こっちこっち♪」
お試しくださいコーナーのソファーに座って
手招きする仕草…
あか~ん!!可愛すぎるやん!!
心臓に悪いわぁホンマ…///
手招きされるがままに、隣に腰を下ろすと
小さめの二人掛けの為、自然と身体がくっついた。