第8章 緊急呼び出し
「多田くん、面会禁止じゃなくなったらお見舞いの品持って行ってもらってもいい?」
「?じぶんで行けばいいじゃないですか?あ、忙しいですか。」
「いや、迷惑かな、って。」
「そんなことないですよ!圭祐いつも的羽さんのこと話す時すごい嬉しそうなんですよ!
昨日は何食べたとか、あれが美味しかったとか。」
「本当に、、、?」
たしかに「よく的羽さんの話するんです」とは言っていたが。こんな時だが少し嬉しくなる。
「来てくれたら、多分圭祐喜びますよ。」
「そう、かな。じゃあ、お見舞い来るよ。」
「それがいいと思います。なんか偉そうですいません。」
「ううん、嬉しかった。ありがとう。」
面会禁止だというので、そのまま帰ることにした。
「私車だから、送ってくよ。」
「いや、迎え頼んだんで大丈夫です。」
「そっか。じゃあ、またね。私もお見舞いくるけど、何かあったら連絡して。」
「あ、はい!」
帰り道、車を走らせながら先ほどの出来事が頭をめぐる。
昏睡状態。最悪の場合ーー
死亡。
(そんなわけ、ないよ。大丈夫。)
ハンドルを握る手が震える。
(怖い。怖いよ。)
家に帰って間も無く、インターホンがなって勢いよく綾奈が飛び込んできた。
「光里!メールもらってびっくりしたんだから!和泉君、大丈夫なの?」
「多分、、、。」
「そっか。」
綾奈は、詳しくは聞こうとしなかった。光里を気遣って。
「よし、今日は泊まっていい?女子会しよ。」
「綾、、、!うん、もちろん!」
それから、お菓子を食べたり、テレビを見たりして時間を潰した。
そして、夜。
「いただきます。光里、料理上手いじゃん!流石だね。こりゃモテるわ。」
「モテたことないけどね。」
「あははー。」
そんな会話をしていると、あっという間に時は過ぎた。
時折不安そうながらも笑顔を見せるようになった光里を見て綾奈は一安心するのだった、