第8章 緊急呼び出し
prrr. prrr.
『はい、もしもし?』
「綾?光里だけど。」
『知ってる。何の用?』
「ごめん、ちょっと付いてきて欲しいの。」
光里は綾奈に電話をかけていた。
荷物が届いたこと、一度だけ圭祐と話がしたいことを伝えると、綾奈は
『やっと決心したか。もちろん、ついて行ってあげるよ。』
と言った。
「わぁ、本当?ありがとう、綾!」
『お安いもんよ。じゃあ、明日ね。』
(綾がいてくれるなら心強いなぁ。)
翌日ーー
「おまたせ、光里。」
「綾!来てくれてありがとう。」
「で、どうするの?高校行くの?」
「うん。今日土曜日だし、運が良ければ部活やってるかもだから。」
2人は高校の前まで行った。
「あー、でも、なんて声かけよう?校門前でウロウロしてたら不審者だよね。」
「あ、それなら大丈夫。高校内に用あるし。」
「え!?」
(綾が高校に用事?なんでだろう?まぁ、ありがたいか。)
綾奈は生徒の保護者かのように高校に入り込む。
気後れしながらも、光里も高校の門をくぐり、校舎内に入った。
「何か、ご用ですか?」
学校の先生と思われる女性に声をかけられた。
「あ、佐々木祐斗の姉です。弟が家の鍵を忘れて行ったので、届けに来ました。」
「そうなんですか。少々お待ちくださいね。」
笑顔で階段を上って行く女性を見送り、綾奈に声をかけた。
「弟高校生なんだ。それにしても、都合よく鍵忘れるもんだね。
「うん、昨日のうちにこっそり鞄のポケットから抜いておいた。」
なんでもないことのようにさらりと言った綾奈に吹き出しそうになるのをこらえ、弟の到着を待った。
「あ、あれ祐斗のねーちゃん?美人じゃん。」
階段から勢いよく男子生徒が2人駆け下りてきた。
「あぁ、祐斗。はい、鍵。」
「あれ、おっかしーな。昨日カバンにちゃんとしまったはずなんだけどな?」
「その辺に落ちてた。」
(違うよ。綾奈が抜き取ったんだよ。)
心の中でツッコミ、そのやりとりを眺めた。
その時。
隣にいた男子高校生が声をあげた。
「あれ?」