第7章 哀しみと踏み出し
あれから1時間。
何があったかわからないまま終わった恋。
ようやく冷静になってきて考えた。
(私は、彼に何をしちゃったんだろう?)
やっぱり1日限りとはいえ恋人としてデートしてというお願いは急すぎたか。
でも、今日の彼の様子を見る限りそれはないと思った。
それに、先程言っていた言葉。
『的羽さんのこと、嫌いになったわけじゃないですから。』
圭祐はきっと嘘をついていないと思う。
そんな子じゃない。
だとしたら、なんで?
考えが堂々巡りになってまとまらない。
(明日、綾に相談しよう。)
親友にすがるしか今は思いつかなかった。
『さよなら』の声が震えているような、泣きそうな感じがしたのは果たして気のせいだったのだろうか。
会って確かめたいのに、その手段がなかった。
『さよなら』が頭から離れない。
圭祐の言葉はいつも優しくて、安心する言葉ばかりだった。
それなのに『さよなら』だけは悲しくて、悲しくて仕方ない。
(悩んでても、しょうがない。)
どうせ釣り合わない。いい機会だったと思おうとした。前向きに考えようと。
(明日、綾に相談して、もしかしたらどうにかなるかもしれないし。)
いつのまにか、意識は眠りへと誘われていた。