第5章 2年差
光里は泣いてしまった恥ずかしさもあり、
言ってもいいか迷っていたのでなかなか言い出せずにいた。
「和泉君、もう遅いから、送っていくし帰っていいよ。
つきあわせてごめん。」
やっとの事で言い出したのはそれだった。
(あ、でもここまでやっておいて返すのもなんかなぁ。)
「迷惑でないなら、帰りません。
“待って”って言ったじゃないですか。」
自分で言った事だからどうしようもない。
光里は諦めて打ち明ける事にした。
(でも、本当のことなんて言えないよ。)
年齢差が、なによりも好きな人の存在が邪魔をして本心が言えない。
20になる最後までだけでも“お姉さん”を貫いて一緒にいたい。
告白して、振られて嫌われたくない。
告白して、付き合いたい。
圭祐にとって特別な”恋人“になりたい。
20になっても、ずっと一緒にいたい。
光里はまだどっちつかずにいる。
だって、どちらも本心。
一緒にいたい。それはどちらも変わらないから。
圭祐は好きな人がいると言っていた。
告白したって結果は目に見えているのに
“付き合って”なんて言えない。だから-ーー
「今週末、1日だけ付き合ってよ。」
「え?」
「買い物とかいこう。私男の子とお出かけしたことないし。」
「えっと、、、?」
戸惑う圭祐に光里は最後の一言を言った。
「その、1日だけ彼氏になってほしいな、っていうか。」
これが今の光里が必死に考えた事だった。
光里に言える最上限のワガママ。
(これくらいのわがままは許して、お願い!)