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雨の帰り道

第1章 雨の日


(雨、降ってきちゃったな。)
的羽光里は19歳になったばかりの大学生だ。
大学がない時は近所の書店でアルバイトをしており、店の店員や大学の仲間も皆優しかった。
光里は今の暮らしにかなり満足していた。

今はバイトが終わり、アパートまで帰ろうとしていた。
光里は傘を差して歩き出した。
だがあと少しでアパートに着く所で、光里は悲鳴をあげそうになった。
(な、なんか居る!人!?)

そこに居たのは確かに人だった。眼鏡をかけた男性が植え込みの側に座っていたのだ。
(雨の日にそんなところにいたら濡れるっていうか、確実に風邪引くよね。
制服きてる。高校生かな?)
「あの、風邪ひきますよ?」
仕事終わりで疲れていたからなのか、この時光里はほとんど警戒心を持っていなかった。

「た、たすけてください。死にそうなんです。」
よく見ると男性の手には衰弱した仔犬が抱えられていた。
(うわ、なんてベターな展開。)
光里は若干そんな事を思いつつも仔犬と男性をアパートに連れて行った。
男性は部屋に上げたくはなかったが、そんなこと言っている場合ではないし、
仔犬はずっと男性が抱きかかえたままだったので仕方なく男性も玄関へあげた。
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