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Pink*Flower Blossom♡番外編①

第3章 皆が頑張るWhiteDay


〈 姫次 凌 side episode 〉






『う......なんだか...嫌な予感がする...』


めるの部屋に向かって
屋敷の中を歩いていた凌は、
急な悪寒にぞくりと肩を震わす。


(やばい...これは......あれだ...!)


何かを悟り、廊下を走ろうと
足に力を込めた瞬間、


「凌さまぁぁあああぁあ♡♡」


廊下の向こうから両手を広げて
走ってくるメイドと目が合ってしまった。


(......最っ悪だ...)


心の中で大きな溜め息をつくも、
凌はにこり、と爽やかな笑顔をつくる。


(...こういう、“僕が自分にだけ優しい”と勘違いしてる女は本当に面倒だから、
今回もそこは上手く避けてお返しも渡して回ってたのに......)


『去年までならあのまま帰ってたんだけど......
今年はめるちゃんがいるからなぁ...』


(まさかめるちゃんを探してる時に捕まるとは...油断した......)


そんなことを考えながら、
駆け寄ってくるメイドに
ひらひらと手を振ってそれにこたえる。


『どーも。久しぶりだね』


「ええ!最近お会いできず、私、寂しかったです...」


『...ごめんね?ちょっと忙しくて。
でも、久しぶりに見る君も、相変わらず綺麗だな』


「きゃあん♡ありがとうございます…!」


『ふふ、どーいたしまして。
それじゃあまた...』


そう言って、早くこの場を立ち去ろうと、
凌がくるっと方向を変える。


「あ、待ってください…!」

と、少し焦った声に呼び止められた。


『ん?どうかしたの?』


「そ、その...私...その......」


『ん?』


「その...!他のメイドから、凌様から
ホワイトデーのお返しを貰ったって聞いて...
その......わた、くしにはっ...」


(うーわ......でたでた...
そういうとこが面倒いんだって......)


凌は、そんなことを思っているとは
想像もつかないほど素敵な笑顔で
メイドにニコリと笑いかける。


『うんと、君にはー』


「あ...!もしかして、これが私にだったのでしょうか...?」


『ん?これって...?』


少し照れたようにメイドの指した指の先にあったものはー...

凌が持っている、“めるへのプレゼント”だった。
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