第9章 I am lucky
体育祭終わった後、待ち合わせをしていた公園に行くと、轟くんだけじゃなくてもう1人の影が見えた。
『轟くん…と、えっと…緑谷くん』
「ひゃっ!」
後から呼びかけると、緑谷はくるみを見て顔を赤く染めた。
「と、轟くん…待ち合わせてた人って…」
「あぁ」
『初めまして!縫井くるみです
ねね、緑谷くんって爆豪くんの幼馴染なんだよね?、デクくんって呼んでいいかな?』
くるみは食い気味に緑谷に近寄るが、女子に耐性のない緑谷からすれば、くるみの距離感は心臓に悪いだけで。
「う!う、うん!好きに呼んでくれていいよ!……
っあ……そっか、君なんだねかっちゃんの事好きだって言ってる女の子…」
『うん…絶賛片思いだけど……』
「かっちゃんかぁ…どこら辺が好きなのかちょっと分からないけど……
君の、それ……もしかして」
緑谷はくるみの首元を見て眉を下げた。
オメガの象徴であるゴツい革首輪。
ポニーテールにしているせいで、いつもより目立つソレを、くるみは指先で辿う。
『あー…うん、オメガなんだよね…』
「僕も、だよ
まだ発情期迎えてないけど。」
眉を垂らしたまま、乾いた笑いの緑谷。
『ほんと!?わー雄英でオメガに会うの初めてだよ!』
くるみは緑谷の手を握ってぴょこっと跳ねた。
「ひぅ!いや、多分…僕と、君だけだと…思う……ただでさえ少ないし…」
『そだよね、普通校だもんね
わー嬉しいなぁ…なんだか、一人っきりで、ほら首輪目立つし…心細かったの…』
「そう…だよね…」
オメガの辛さは痛いほど分かる緑谷は、くるみに同調した。
「オメガ同士…僕でできることあったら、なんでも言ってね!」
『ありがとう…デクくん』