第8章 I am a girl
試合が終わると、くるみは席から立ち上がった。
「うぇ?くるみちゃん行っちゃうの?」
「ここで見ていけば?」
上鳴が引き止め、瀬呂が誘ってくれるが、くるみは首を横に振る。
『ありがとう、でも爆豪くん帰って来ちゃうし』
手を振るくるみは爆豪に会わないように、急いで自分のクラスの観客席に戻ろうと、廊下を小走りに進んだ。
だが、階段を降りようとしたところでぶつかった人影に、思わず、ぬいぐるみを落としてしまう。
『爆…豪くん……』
ぶつかった男の名前を呼んだくるみは、少しだけ狼狽したが、すぐに足元のぬいぐるみを拾い上げる。
「お前…」
『あ….えっと
二回戦進出、おめでとう…ございます…』
当たり障りのないことを言って、爆豪と目を合わせないように俯いたまま、その横を通り過ぎようとしたのだが…
爆豪に腕を掴まれ、つんのめった。