第7章 I am having fun
何度も転がりながら打ち付けられたコンクリートの上で、
麗日は絶望の混じった目で煙幕の中の爆豪を見る。
「デクの野郎とつるんでるからな…お前……
なんか企んでるとは思ってたが…」
爆豪は痙攣する左手を隠しながら麗日を睨みつける。
(私のできる…最大限…!全く通じへんかった…!)
麗日は床に四つ這いに突っ伏したまま、動きが取れないかと思われたのだが…
(それでも……!)
決死の作戦を打ち破られてもなお、立ち上がる彼女に爆豪は歯を見せて笑う。
「いいぜ…こっからが本番だ…!麗日ァ!!!!!」
爆豪が麗日を目掛けて走りよる、麗日も振り返り、迎え撃とうとしたのだが、視界がぼやけそのまま地面に倒れてしまった。
体がいうことを聞かない…
もうとっくにキャパシティーはオーバーしていた…
心はまだ死んでいない、動け、動けと体に命じる
けれど、動けない。
地面を這って、ズリズリと爆豪へと白めく視界の中で進む
全ては、夢のため…。
ヒーローになるために…。
ミッドナイトが麗日に駆け寄り、確認をとる。
焦点の合っていない瞳、呼吸も浅い
「麗日さん、行動不能!二回戦進出…爆豪くん!」
長く、見るにも辛い戦いが終わった。
誰もいなくなったリンクの上で旗めく、麗日の脱いだジャージが酷く、さみしげに見えた。