第6章 I am so cold
体育祭ということで、予選落ちでも参加ができるリクリエーションもきちんと用意されていた。
「私は参加するけど、2人は?」
レイナとくるみに問いかけると、
「私はパス」とレイナ
『もっちろん参加するよぉ!』と食い気味にくるみが答えた。
くるみとエミリがスタジアムにリクリエーションのために入るとA組の女子生徒達がチアリーディングの格好をしてたっているのが目に入った。
『うわぁ…近くで見るとやっぱりみんなすごく美人さん…』
「ほんとだ…顔面偏差値高いなー
っあ!でも!くるみも可愛い!負けてないよ!」
『え!あ…ごめん、気つかわせちゃった…?』
「いや、可愛いのは本音だけど…
まぁ確かに、好きな人のクラスメイトが強個性の美人でしかもアルファとかだと…引け目を感じるのはわかるよ」
『うん……やっぱ、近くにあんな素敵な人たちがいたら…
そりゃ、相手にされるはずもないよね』
自傷気味に笑っていると、他クラスの男子生徒達がくるみに話しかけた。
エミリからみれば、くるみは十分に高嶺の花だが、何せ相手が悪い…。
ヒーロー科入試一位のアルファに普通科のオメガ
よく出来た恋愛小説ならハッピーエンドが待っているだろうが
現実はそんなにウマくはいかない。
アルファは自分たちの性を守ろうと、強ければ強いほどアルファ同士での結婚をする。
オメガを選んで結婚するのは、アルファの中でも劣等か、
【運命】のつがいに出逢えたものくらいだ。
くるみはいい子だ。
可愛いし優しいし、頑張り屋だ。
オメガでありながら、雄英に入学するなど、並大抵の努力じゃできないだろう。
(くるみに素敵なアルファが現れますように…)
エミリはそっと胸の中で願うことしかできなかった。
そんなA組女子の応援の中、穏やかに進むリクリエーション…
第一種目の【借り物競争】でくるみは手にした紙をめくって目を見開いた。
「くるみは何だった?」
隣のエミリに聞かれて、くるみは
『内緒♡』
と笑うと、スタジアムの外へ通じる通路へと消えていった。