第6章 I am so cold
「わーお、爆豪さん人気だねー!」
レイナの言う通り、爆豪の周りにはA組生徒が群がり自分と組もうと声をかけている。
『ほんとだー、凄いなぁ…』
くるみが少し眉を下げて呟くものだから、レイナはくるみの顔を覗き込んだ。
「私も、A組だったらなぁー
爆豪くんと騎馬戦組めるのに…
って思ってる?」
『わ!なんでわかったの!?』
くるみは真っ赤になって目をそらすが、レイナとエミリはクスクス笑いながら
「いや、だれでも分かるって」
「そーそー、くるみは分かりやすいから」
くるみは自分の頬をムニムニ触りながら『えぇー…そうかなぁ…』と項垂れる。
…と、そこに近づいてきた男子生徒がくるみの肩を叩いた。
「あの、縫井さん…ちょっといいかな?」
『え…あ…うん』
くるみは爆豪の方を振り返って、後ろ髪を引かれるように男子生徒について観客席を後にする。
レイナとエミリはその後ろ姿を見つめながらニンマリと笑った。
「ね、今のやっぱり…」
「やっぱそうだよね!」
キャー青春ダァ!とはしゃぐ2人に、後に座っていたクラスメイトの女子が声をかける
「でも、あの男ベーダだよ?」
「え?」
「そうなの?」
女子は「うん」と頷く。
「わたし、あいつと同中だからさ。
うちの中学ほぼベーダだったし」
「そっかぁ…」
「まぁ、オメガのフェロモンはベータにも効くしね」
「バース以前に、くるみ可愛いしなぁー」
超人社会になったと同時に生まれたオメガバース性…
第五世代の彼らはこの性を当たり前のように受け入れている。