第6章 I am so cold
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予選通過の42名が発表される中、くるみは案内に沿って普通科の席に着席した。
「くるみもダメだったかぁ」
エミリが眉を下げながら笑いかけ、くるみも同じように笑いかえすと、ドロドロになったクマのぬいぐるみをエミリに見せた。
『綱渡りの途中で、落としちゃって…
わたしこの子いないと無個性みたいなものだから』
「そっかぁ…大変だったね」
『うん…後で洗ってあげないとね』
くるみはぬいぐるみを撫でながら優しく笑う。
『なんだか、軽く考えてたわけじゃないけど…予選くらい通過できたりしないかなーって思ってたんだぁ』
「私もだよ」
きっとヒーロー科を受験した生徒は皆そうなんだろう。
まさか自分が予選落ちするとは…と、皆思っている。
だが、予選通過枠は42名、ヒーロー科は40名。
実質普通科サポート科経営戦略科で2枠しかないのだから、
当然現実は厳しい。
「うちのクラスから心操通過したってぇー」
レイナがゆるゆると歩いてきながらくるみの隣に座る。
『えーすごい!』
「まじ!?心操の個性なんだっけ?!」
『たしか…洗脳?』
「そうそうー、そんな感じだったよね」
普通科生徒のの視線は一心に心操に注がれた。
期待と、羨望と、少しの嫉妬を孕んで
だがその中で1人、くるみだけが別方向を見つめている。