第31章 I am nothing
首根っこを掴まれた爆豪は、緩んだ指から解放され、床に四つ這いになり、くるみと死柄木を見つめる。
見上げてくる哀の一色を塗った食った表情
くるみは突然現れた爆豪に、顔を青ざめさせた。
『や……うそ…なんで…』
「わ、悪ぃな!えっと…邪魔した!/俺に構わず続けろ」
トゥワイスはワタワタしながら、爆豪を掴むと、部屋をあとにしようとしたのだが
「待て……」
そう言ったのは、死柄木だった。
『とむら…くん…』
くるみは困惑した視線を死柄木に向ける。
「爆豪は…置いていけ」
『……!?』
「は…?」
爆豪は思わず声を漏らした。
「見ていけよ、爆豪くん…
今からちょうど……」
死柄木がくるみの首元の装飾を外し、床に落とす…
その声は、楽しさを押し殺すように震え
むき出しになったくるみの白い首筋に、死柄木は唇を這わせた。
「番になるところだからさぁ…」
「!?」
『や……見ないで……』
くるみは顔を真っ赤に染め、目を強く閉じ、その端から涙をこぼす。
四指が添えられた首筋が震えた。
「やめ…ろ……」
爆豪は震えながら、死柄木に向かって唸る。
「番になれば……
くるみは全部…俺のものだ」
「辞めろ……!」
ーーーガリッ
そんな音がして、僅かな血の味が、死柄木の口内に広がった