第28章 I am a Villain
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「弔くん達の靴!お揃い!かぁいい!」
トガが二人の足元を指さして大きく声を出した。
静かな森の中、その声はやけに響いたが、問題ない。
もう追っ手も、自分たちも、ここがどこかさえ分かっていないのだから……
『そうなの、弔くんがくれたんだ
えっと、トガ…さん?』
「トガヒミコです!トガちゃんって呼んで!!わたしもくるみちゃんって呼んでいい?!
お友達、なりたいのです!
私も好きな人います!恋バナしましょう!」
『じゃあ、トガちゃんね。』
トガはくるみの腕に絡みつくと、ピッタリとくっ付いて笑顔を見せた。
深い深い森の奥で、黒霧と荼毘の意識回復を待つヴィラン一行
爆豪は屍のように座り込んだままピクリとも動かない。
その目の前にしゃがみ込んだトゥワイスとコンプレスは心配そうに爆豪の顔をのぞき込んだ
「同情するぜ/自業自得だな!」
「本当ですね…。愛した女性が実はヴィランだったとは…いやいや、なんという悲劇…。」
「で…あの女は結局誰なんだ…」
新参者のトゥワイスは、マスクに包まれた首を捻る。
「くるみは俺の【運命】だ」
その問に答えたのは、木の幹に背中を預けてくすりと笑う死柄木弔。
「あの首輪、あの女…オメガだろ?ならお前は…」
「俺は、アルファだ」
「私もアルファですよ。」
死柄木に加え、コンプレスまでアルファだと分かると、ベータのトゥワイスは
「羨ましいぜ/しょぼいな!」
と言った。
「【運命】ですか……一目見ただけで感じ合い、必ず愛し合うことのできる…
そんな夢のような現象、都市伝説だと思っていましたよ。」
コンプレスがそう言うと、死柄木は方杖をついたまま
トガとはしゃぐくるみを見つめる。
「そうだよ…
俺とアイツは。
一目見ただけで愛し合った…
そんな夢みたいな出会いだった…」