第28章 I am a Villain
なぜ、今。
このタイミングでキスをしたのか。
キスをしたのはくるみの方からのように見えた。
なぜ、今?!
堂々巡りの思考…
同時に、到着した他シンリンカムイ、マウントレディ、グラントリノなどのヒーロー達も、固唾をのんでその光景に魅入っていた。
戦場で交わされる幼い二人の口付けは、
何故か常軌を逸しるほど美しく…
そっと離れた横顔に、爆豪の困惑する表情が現れる。
くるみはニコリと笑うと、オールフォーワンの方に向き、めんどくさそうに頭をかいた。
『ねー先生ー?ココ、何体埋まってる?』
「20は埋めておいた、好きに使いなさい」
『ふーん…わかった…』
くるみが両掌を地面にかざすと、焦がしキャラメル色の髪がふわりと浮き立った
ボコっボコっと、地面が、熱湯の泡のように盛り上がり
中から変色した肌色の、
いくつもの【手】が現れる
ゾンビ映画で何度も見たことのあるような、地面から這い上がってくる死人達…
その中心で、くるみは綺麗な表情のまま笑っている。
「くるみ………おまえ……」
どうにか声を絞り出した爆豪の
唖然とした顔に目を向けるくるみ
『本当は…まだ、好きでいてあげる計画だったんだよ?』
美しい桜色の唇が、ニィっと吊り上がった