第26章 I am a ○○
爆豪は本日何度目かのスマホチェックをして、怪訝な表情のままポケットに滑り込ませた。
合宿三日目、肝試しの会場となる山中で、A組クラスメイトは次々にくじを引いていく。
「爆豪、引いたか?」
「引くわ、黙れ」
話しかける切島に冷たく返事をする爆豪。
あからさまに昨日から機嫌が悪い。
くじを引く爆豪は、[2]とかれた番号札を振る。
「誰だよ、2のやつ」
「…俺だ」
その問いかけに答えた轟が同じく[2]の番号札を持ち上げた。
爆豪は轟の顔を睨みつけ、舌打ちをした後、近くにいた尾白に向かって突っかかる。
「おい、尻尾、変われ」
「いや、無理だよ…」
轟は、尾白に突っかかる爆豪の、ポケットからぶら下がるクマのぬいぐるみを見て少し切なくなった。
それはいみじくも、自分のポケットに忍ばせているものと同じ形状をしている。
番号札1番の、障子常闇チームが森の奥に消えて5分後、轟爆豪チームも順番通りに指定の道を進んでいく…
ひんやりとした夏の山道
独特の濃い緑の香りに包まれ、虫の鳴き声がやけにうるさく感じた。