第24章 I am dating with you
覚悟して居たはずだった
もう手放せないと諦めたあの瞬間から
自分ではくるみは救えない…
頭ではわかって居ても、目の前にするとその決断が揺れる。
「ほら…水飲め」
『う…んんっ♡く…♡』
目の前のくるみは、抱いても抱いても終わることのない欲情の連続に、体はビクビクと震えつづけている
押し付けたペットボトル
口の端から溢れる水がベッドにこぼれ落ち、ジワジワとシミを作っていった。
「くるみ……」
『苦しい…くるし…よぉ…』
うわ言のように喘ぎながら、くるみは爆豪の股座にかおをよせ
ボクサーパンツの中から陰茎を取り出し口に含んだ
『これ…ほしい…』
硬くなっても、くるみは口を離すことなく、口淫をつづける
「挿れねぇのか?」
汗に濡れた前髪を撫でるが、くるみは言葉が理解できて居ないのか、無言で男根をしゃぶり続けた
「…救えなくて、悪い」
「っても……聞こえてねぇよな」
この何回かのヒートで、わかったことは、
完全なるヒート時に対話らしい対話はできないということだ。
動物のように快楽だけを求めるその脳は、人間としての理性や思考を失っているのだろう
ヒートがどれほど辛いか、アルファならわかることも出来る。
オメガのフェロモンに当てられたアルファもまた、ヒートに悩まされるのだから。
ベータでは、その苦しみを、分かち合うことも、
その苦しみから救うことも出来ない
結局何も満たしてやれないまま、
ただ、やみくもに抱いて
抱いて、抱いて
報われない愛の先に、何が正しいのかなんて
誰も教えてくれねぇ
ただ、また脳の中で聞こえる声はデクのもので
あぁ、ほんとに
あいつはいつだって俺の精神をえぐってきやがる
その度にチラつく、轟の顔にまた顔を歪めた
アイツナラ、なんて、思いたくない
『爆豪くんがいい』って
苦しいのはテメェなくせに俺を選んだくるみに
これ以上の醜態を晒したくはねぇ
誰がなんと言おうと、俺が、くるみの運命だから