第22章 I am not knowing
ゴールを目指す緑谷少年を煙幕の先に捕らえて、その背中を追いかける。
そこを狙ったのか、目の前でうち放たれるスタングレネードに、爆豪少年の顔面を掴んで、地面に押し付けた。
「寝てろ…爆豪少年」
ミシッ…と音を立てる手のひらで、爆豪少年の唸り声が聞こえる。
「……折れて…折れて…
自分の勝ち方さえねじ曲げて…選んだ勝ち方なんだよ……
倒さねぇと……一生…俺は…アイツに後ろめたさを感じることに…なんだよ…
…ンなのは…嫌…だ!」
押さえつけた顔の手の端から零れる言葉は息絶え絶えで、
その迫力におもわず背筋がゾワっとした。
「どいて下さい…!オールマイト!」
その声に背後からの声に顔を向けると、
同時
頬に、重い拳が入る。
殴られてよろめくなんて何十年ぶりかな、なんて思いながら…大勢を整えようとしたけれど、思わず、膝をついてしまった。
ゴール下を見れば、爆豪少年を抱えた緑谷少年が、あともう少しでゴールを潜ろうとしている。
追いかけようとしたが、体についた重りと、さっきのスマッシュが効いて…動けそうにもない。
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オールマイト膝をついて見送る中、
緑谷は、爆豪を抱え、ゴールゲートを超えた。
2人が、オールマイトに勝利した、瞬間だった。