第18章 I am a Beta
学校からくるみの部屋に直帰する。
愛し合って、くるみが気絶するまで相手をしてから
抱きしめて眠って
くるみの部屋から学校へ行く。
そんな日々が五日ほど続き、くるみのヒートも割と和らいできた。
『このぶんだと…明日にはヒート終わるかな』
「そうか」
『凄く楽だった…爆豪くんのおかげ、ありがとう』
「……」
礼を言われるようなことは何も出来ていない。
悔しげに渋くなる表情に、くるみはそっと唇を重ねた。
チュッという戯れのようなリップ音に、爆豪は目を見開いてくるみを見つめる。
『大好きだよ』
「…俺も、好きだ……」
ギシッとベッドが鳴った…。
やはり、エゴなのだろうか?
こいつを手放して、アルファと番わせた方が、こいつは幸せなのだろうか…。
こんな狭い部屋の中でも、首輪を外したくるみは、とても自由に見える。
俺がアルファで、番いが成立していれば、もうあんなオメガの象徴を身につける必要もなくなっていたというのに…。
くるみの頬を指で撫でると、くるみはくすぐったがりながら微笑む。
ゆっくりと下に降りた指先は、首の後ろを撫でた。
あの日付けた噛み跡のカサブタは、もう治りつつある。
くるみの中から俺が消えつつある…
番の印は、一生消えない。
それ以外のものは簡単に、体が治癒して、消してしまう。
(本当に…俺はベータなんだな…)
別に期待していたわけじゃない。
けれど、何度も突きつけられる現実…。
俺ではくるみを救えない
くるみは俺のものにはならない…
ベータとオメガの夫婦がいることは知っている。
デクんところも確かそうだ…。
けれど、どんなに愛があろうと、オメガはヒートの苦しみからは解放されない…。
ベータも、自分の最愛のオメガが、いつアルファに奪われるか、気が気じゃないという。
俺はどうしたらいい?どうするのが正解だ。
ーーー「番になる他、オメガを救う方法はないんだ!そんなの君だってわかってるだろ?!」
デクの声が、やけに耳に残って煩い。
そんなこと…俺が一番
わかっとるわ。