第16章 I am who you loved
「……なんで…だ」
『爆豪…くん…?噛んだ?』
「なんで……は?なん…っ…」
噛んだと言うのに、くるみのヒートが治らない。
未だ増え続けるフェロモンと熱が、番い行為が成功してないことを示している。
「ンでだ…っ!」
爆豪は何度も何度も噛みながら、くるみを抱いた。
口の端に血を垂らし、ベッドシーツに赤いシミをいくつも残すほど、噛み続けたが、番は成立せず…
あまりにも痛々しい首筋に、呆然と体を離す。
『抑制剤…飲んでる、せいとか?』
「わかんねぇ…」
『そ…だよね……
でも…だいぶ、楽になったから…
またチャレンジしてみよ…?』
「あ?…あぁ……」
くるみは、未だヒートで意識は朦朧としていたが、アルファの匂いに落ち着いたのか、爆豪に抱きしめられたまま眠りについた。
くるみの焦がしキャラメル色のフワフワの髪を撫でながら、爆豪はその晩ずっと眠れずに天井を見つめる…。
なぜ番いになれなかったのか…。
まるで、何かが邪魔をしているような、そんな感覚に頭がおかしくなりそうだった…。