第15章 I am destiny
「……縫井さん…アルファに襲われたんだ」
「は?」
「それでも、君の名前を呼び続けてた…
どんなに苦しくても、ヒートで気が狂いそうになってても
いつだってそうなんだよ…
いつも…君にもらったネクタイを握りしめて…うわ言みたいに君の名前呼ぶんだ!!
何度も何度も…爆豪くん、爆豪くんって……呼び続けてるんだよ…
かっちゃんが、選民意識のつよいアルファ婚を望んでるのは昔から知ってる…
なら、突き放してあげてよ!!
縫井さんに期待をかけるのは辞めてあげて…
見ていて…辛いんだよ……」
「……鍵寄越せや」
「…僕の話聞いてた?
辞めてあげてくれよ…」
「いいから寄越せ、コロスぞ。
あと…アイツ襲ったアルファの話…後で聞かせろ…」
緑谷は、渋々ポケットから鍵を取り出すと、爆豪はそれをむしり取るように奪って、くるみの家の方へと走っていった。