第3章 I am general course
コンビニの雑誌コーナーで、店員の冷たい目線も気にせず立ち読みするくるみの肩をトントンと叩くと
ガラス玉のような綺麗な瞳が、轟を見上げた。
『轟くん!どうしたの、こんなとこで』
「いや…別に、見かけたから声をかけただけだ」
迷惑だったか?と問う轟に、とんでもないとくるみは首を振る。
そしてまた雑誌の紙面とにらめっこを始めると、轟はくるみに肩を寄せて紙面に顔を近づけた。
【モテ術特集!〜これで落ちなきゃ男じゃない〜】
自信たっぷりの煽り文句が踊る記事には、あざとすぎるようなモテ術が羅列している。
「これ、ほんとに効くのか?」
轟は眉をひそめて記事を読んでいくが、恋愛云々にそもそも疎い轟には想像するにも少々難関であった。
『わかんない…でも、色々試してみたいから』
ぐっと雑誌を持つ手に力が入る。
「…………爆豪か」
『うん!』
ソメイヨシノが舞うあの日。
告白をして秒で振られたくるみを、物陰から目撃してしまった轟は
気まずさからその場を一刻も早く後にしようと歩き出したのだが
振り返った時に見えたくるみの小さな後ろ姿に、どうしようもなく切なくなって
「…大丈夫か?」と声をかけた。
くるみはとても驚いた様子で顔を持ち上げると
轟を見て、へにゃっと無理して笑う。
『大丈夫…です
ありがとうございます』